この記事を書くにあたり、DMで相談に乗ってくださった方々、本当にありがとうございました。
①【記事チェック】人間の傲慢さの極地…世界遺産・奄美大島の「猫3000匹殺処分計画」はなぜ止まらないのか←という記事があったのでチェックしてみたよ
②【記事チェック】人間の傲慢さの極地…世界遺産・奄美大島の「猫3000匹殺処分計画」はなぜ止まらないのか←という記事があったのでチェックしてみたよ
③【記事チェック】人間の傲慢さの極地…世界遺産・奄美大島の「猫3000匹殺処分計画」はなぜ止まらないのか←という記事があったのでチェックしてみたよ
「遂行の仕方が強引だ」と話す記事に対しどうしてそう思うのか読み解いてきたおどるとなちゅ。アマクロ死因ナンバーワンは交通事故の謎も集計場所故と解明するが、次に迫る「科学的根拠不十分」謎について少々足取りが重いのだった(解説が難解そうだな~ってかんじで)。
今回は奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画をなんでするか、ってところに触れていくよ。
生き物を守るためなんじゃないの?
それもあるけど、それだけじゃないんだ。
予防原則を踏まえ始まったノネコ管理計画
3年前、「アマミノクロウサギが増えているのに、猫を捕獲する必要があるのか?」という私の問い対し、環境省は「アマミノクロウサギがノネコに捕食されているのは間違いありません。危険があれば科学的な根拠が不十分でも、早めに対策をするというのが保全生物学の鉄則です」と回答した。
人間の傲慢さの極地…世界遺産・奄美大島の「猫3000匹殺処分計画」はなぜ止まらないのか
ふんふん、アマミノクロウサギが増えているのにっていうのはよくわからないけど、交通事故が多いって印象のままだと確かに「交通事故なんとかせい!」って思っちゃうのも仕方ないかしら?
そうだね。そもそもアマミノクロウサギだけじゃないから、「アマミノクロウサギが増えてるのになぜ?」というのはちょっとずれてるけど、増えてるなら対策しなくていいんじゃない?と疑問に思うのは仕方ないかもしれないね。
それに科学的な根拠が不十分だと言われると「計画が強引!」と思っちゃうかもしれないわね。私も正直思ってるわ!
おどるの気持ちもわかるけど、でもここも計画書読めばある程度納得できる部分なんだよね。
計画書には既に予防する理由が記されている
計画書の「1.はじめに」の部分を読んでみようか。
一方で近年、森林内においてノネコの目撃頻度が増加し、ノネコの森林内での繁殖や希少種の捕殺も確認されるなど、ノネコによる希少種への影響防止が新たな課題となっている。ネコは、国際自然保護連合(IUCN)の種の保存委員会が外来種の脅威について注意喚起するために作成した「世界の侵略的外来種ワースト 100(100 of the world’s worst invasivealien species)」にも選ばれ、世界的にも特に生態系等被害が深刻な種として位置づけられている。また、「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト(生態系被害防止外来種リスト)(環境省、農林水産省 2014 )」においても、ノネコは総合的に対策が必要な外来種、かつ特に緊急性が高く各主体がそれぞれの役割において積極的に防除を行う必要がある緊急対策外来種に分類されている。「外来種被害防止行動計画(環境省、農林水産省、国土交通省 2015)」では、侵略的外来種の侵入・定着が確認された場合には被害が顕在化する前に対応する方が、被害が顕在化してから対応するのに比べはるかに効果的であり、生態系等に与える影響も少なくてすみ、さらには駆除等が必要な個体の数も最小限に抑えることができることから、早期に迅速に防除を図ることが重要であるとしている。このことも踏まえ、関係機関が連携して迅速にノネコの対策を進めるべく、本管理計画を策定するものである。
奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画
長すぎる!
だよね!!
僕もそう思ったけど、とりあえず黄色線のところだけ読んでみてよ。
「被害が顕在化してから対応するのに比べはるかに効果的であり、生態系等に与える影響も少なくてすみ、さらには駆除等が必要な個体の数も最小限に抑えることができることから、早期に迅速に防除を図ることが重要」……?ちょっと意味がわからないわね。
被害が顕在化(隠れたものがはっきりすること)する、つまり見えてなかった影響が見える前に対策すると、駆除が必要な個体数や生態系への影響が少なくなるよってことだね。
ふむ?
例えばセーターがほつれていたとして。すぐにほつれ止めとか対策すれば大体は問題なくなるけど、そのままにしてほつれまくったら編みなおすとか大掛かりなことしないといけなくなるよねってことだよ。
歯医者さんが言う「もっと早く来てください」みたいなものかしら?
何事も問題が軽いうちに対策しておいた方が「最悪のもしも」を避けられる可能性が高くなるからね。
つまりノネコ管理計画も被害がまだ小さいうちにやったほうが最悪の未来を避けられるからやるよってことなのね。
そういうこと!
そういう考えを予防原則というんだ。生態系が壊れるまで待つと取り返しがつかないからこその考えだよね。
計画が始まった後、実は科学的根拠が強くなっています
でもそれでも、予防原則に納得いかなくて科学的根拠が弱いって考えちゃうかもしれないけど、おどるはどう?
できるならちゃんと確固たる理由が欲しいわね。
だと思った。じゃあ計画が始まった後も科学的根拠が増えてるから紹介するね。
実際に食べられている固有種たち
これは計画書にも書いてあることだよ。
奄美大島の森林内で採取したノネコの糞を分析した結果、糞(102個)のうちの97個(95.1%)から哺乳類の毛や骨が検出されている。中でも在来の希少哺乳類の割合が高く、主要な餌資源とされていることが判った(種別の出現頻度*2はケナガネズミ(43.1%)、アマミトゲネズミ(38.2%)、アマミノクロウサギ(15.7%)、在来種以外には、外来種クマネズミ(39.2%))。他にも、ルリカケスやリュウキュウアオヘビ、アマミマダラカマドウマ、ジネズミ類など、合計 12 種類の在来種が糞から出現した。
奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画
②で少し触れた部分だね。ここには森でとったノネコのうんこを分析したらこれだけの生き物のかけらが出てきたよということが書かれているよ。
うんこは食べるからこそ出てくるから、つまりノネコは固有種を食べてるのね。
ノネコも山で生きるためには食べなきゃいけないから仕方ないんだけどね。まずこれがもう根拠として成り立つんだけど、これじゃ根拠として弱いと言われているわけだね。
猫を介して広まるトキソプラズマがアマミトゲネズミから見つかっている
トキソプラズマっていうのは、猫のうんこから出てきちゃう寄生虫だよね。うんこ以外では加熱不十分な肉を食べたり汚染された水や土に触れたりなどでも感染することもあるよ。
トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)はほとんどの哺乳類や鳥類に感染する原虫であるが,ネコ科動物のみが
猫からヒトへのトキソプラズマ感染を防ぐために飼い主に説明すべきこと
環境中に虫体を排出する。そのため,「猫の寄生虫」と認識されることも多い。
そのトキソプラズマがアマミトゲネズミから見つかったってことなの?
そういうことだね。参考資料を下に貼っておくよ!
英語と日本語が沢山ありすぎてすぐ閉じちゃったわ。概要を教えて頂戴!
アマミノクロウサギに関してはトキソプラズマ免疫染色で陽性反応があったけれど断定はできないってところかな。アマミトゲネズミに関してはトキソプラズマ症がおそらくの死因と書いてあったよ。
英語なのによく読めたわね?!
ブラウザがchromeだから日本語翻訳できるんだよ。便利だよね、Googlechrome。
トキソプラズマ症は恐怖心を薄れさせる作用がある
トキソプラズマが怖いのは恐怖症を薄れさせるという、本来の行動を変えちゃうところなんだよね。
え?変えちゃう?
いろんな記事を読んだけど、すごい寄生虫だよトキソプラズマ。
寄生した体内を移動し、さらには肝心の脳に到達するために、トキソプラズマは白血球を“乗っ取る”。白血球といえば、そもそもこのような侵入者を攻撃する細胞だ。白血球を路線バス代わりに利用するだけでなく、トキソプラズマはそれらを小さな化学工場に変え、ネズミの、ひいては人間の恐怖感や不安感を鈍らせる神経伝達物質を作らせているという。
トキソプラズマが人の脳を操る仕組み
トキソプラズマに感染したネズミはネコのフェロモン(におい)に反応せず,ネコを怖がらなくなる。このためネコに容易に捕食され,トキソプラズマはまんまと増殖を続けていく。
脳をあやつる虫
もしもあなたが猫から寄生虫をうつされると、交通事故にあいやすくなったり、犯罪の道に走ったり、自殺したくなったりするかもしれません。
これはウソのようですが本当の話です。猫の寄生虫である「トキソプラズマ原虫」に感染すると、原虫に脳が占拠され、マインドコントロールのような状態になることがわかってきました。
感染者の自殺率が上昇「猫の寄生虫」の怖い生態
T。gondiiが猫に捕食されるリスクに対するラットの認識を変えるように見えることが示されています。感染していないネズミは猫の匂いに対して通常の嫌悪感を示しますが、感染したネズミは回避を示さず、場合によっては猫の匂いへの誘引さえ示します。これは当初「致命的な猫の誘引」と呼ばれていました。
What makes a feline fatal in Toxoplasma gondii’s fatal feline attraction? Infected rats choose wild cats
つまりトキソプラズマ症になるとネズミは猫への回避行動が見られなくなるという事なんだね。
奄美大島には固有種のネズミがいるからこれはちょっと困るのではないの?
より食べられやすくなるってことだから、対策が必要だと考えるのが妥当だよね。
トキソプラズマ耐性がない奄美の生き物にトキソは辛すぎる可能性も
Toxoplasma gondii infection in Amami spiny rat on Amami-Oshima Island, Japanではオーストラリアの生き物にトキソプラズマ耐性がなく致命的な感染症の可能性があると書かれているよ。
Toxoplasma gondiiは、オーストラリアの有袋類や新世界のサルに致命的な感染症を引き起こす可能性T.gondiiに最も感染しやすい種のグループであると考えられています。これらの動物は主にネコ科動物とは別に進化しており、したがってT. gondiiへの曝露とは別に進化しており、したがってT. gondii感染に対する耐性を発達させていませんInnes、1997;Carme et al。、2009)。
Toxoplasma gondii infection in Amami spiny rat on Amami-Oshima Island, Japan
どういうこと?致命的っていうのは死んじゃうってことなの?
取り返しがつかないってことだからそうなる可能性があるってことだね。奄美大島もネコ科動物が元々いない島だから、そう考えると同じようにトキソプラズマ耐性がないと考えられるよ。
耐性がなくてやっぱり致命的でした!となった時には時すでに遅しってこともありえるわね。
この資料にはイエウサギよりもノウサギのほうがトキソプラズマの影響を受けやすいとも書いてあるから、この事実は深く受け止めておきたいところだよね。
ノウサギ(Lapus spp。)は、家兎(Oryctolagus cybuculus )よりもT.gondii感染の影響を受けやすいと考えられています。)、両方とも兎形目に属しているにもかかわらず。実験的感染研究により、ノウサギは非常に低いオーシスト用量で高い死亡率を示したが、家兎はより高いオーシスト用量に耐えることができたことが明らかになった(Gustafsson et al。、1997 ; Sedláketal。、2000)。
Toxoplasma gondii infection in Amami spiny rat on Amami-Oshima Island, Japan
そもそも増えていても絶滅危惧種です
そもそもなんだけど、増えていたって絶滅危惧種なのは変わりないんだよね。
増えているから対策しなくていいなら、数の多い猫も多いから別に駆除しても良いんじゃない?って声が出てきちゃうと思うんだ。アマミノクロウサギが増えたところで、猫の数には遠く及ばないんだからね。
でも、猫可愛いし……。
そう、可愛い。ファンが沢山いるからこそ奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画では捕獲した猫の譲渡もしているんだ。猫ファンの皆様!奄美のノネコ、飼い主募集しておりますよ!
次回!ノネコ管理計画は世界自然遺産目的の計画?!
今日は……疲れたわ!
僕も疲れた!
沢山話しすぎるのは今日以降やめましょう。
話した割に全然進んでないから僕も反省してるよ。
次回は……ノネコ管理計画が世界自然遺産目的……?え?そうなの?
どうだろうね。次回のお楽しみという事で。ではまたねー。
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